こんにちは!フルタイムトラベラー、三谷めぐみ (@meg_intheworld)です。
2024年4月。ネパールにあるVipassana meditation(ヴィパッサナー瞑想)の施設で行われた「10日間コース」に参加しました。その時の体験談をレポートしています。
ヴィパッサナー瞑想10日間コース(DAY 7)
一度は乗り越えたはずの「チャレンジ」が、再び襲ってきた。
隣に座っている女性が、朝4:30からのメディテーションで、いつも以上に怒りのエネルギーを出していた。
ポジションを何度も変えたり、大きなため息をついたり、足をバタバタ動かしたり、自分のことを叩いたり、離席して戻る、といったことを繰り返していた。
いつもよりも動きが激しいので、目を瞑って彼女の隣に座っていることが怖かった。Unsafeだと感じた。彼女が周りに危害を及ぼすことはない、と分かっていても。
自主練をしながら「彼女が身に纏っているあのダークエナジーは何なんだろう、あれほど強い怒りはどこから来るのだろう。」と考えていた。
朝食を食べ終え、庭を散歩している時に、「あと3日しかないんだ」と気づいた。
毎晩のゴエンカ氏の講話視聴で「X日目が終わりました。あとX日残っています。X日しかありません。真剣に、忍耐強く、粘り強く、継続して練習しなくてはいけません。」というのを毎日聞いていたし、Assistant Teacherも「ホールであろうと自室であろうと、練習は真剣に取り組むように。」と毎日リマインドしていた。
最初のうちは「いや、あと8日もあるし」とか、「真剣に取り組むにも、集中力の限界っていうものがあるのよ」なんて思っていたけど、終わりが近づいてくると「本当にそうだな。貴重な時間を無駄にしてはいけない。」と思った。
8:00から9:00のグループ・メディテーションが終わったあと、Teacherが生徒を数人ずつ呼んでチェックインした。
この日、私は隣の女性と同じグループになった。
Teacherがみんなに「How are you? Good?」と聞き、1人だけ様子が違った、私の隣の女性に声をかけた。
すると彼女は「今日はとても怒っていて、メディテーションする気分じゃありません。ここにいる人達はマジでみんな失礼だし、本当にイライラする!全員、最悪!!」と、FワードやSワード(侮辱言葉)を織り交ぜながら、答えた。
Dharma hallという場所で、Teacherに対して、そして他の生徒にも聞こえるように、このような返答をしたことに、私は驚いた。
Teacherは、彼女をなだめるように話しかけるも、彼女の「怒り」は治まらない。感情を爆発させていた。
その時、私は彼女の「痛み」を強く感じた。
ここまで強い怒りのエネルギーを持っているのは、きっと何かがあるんだろう、と思った。
初日に少し話しただけなので、彼女のことは何も知らない。どんな生い立ちで、どんな人生を送ってきて、今どんな状態にいるのか、知る由もない。
ただ、彼女が苦しんでいることだけは明らかだった。
その後の自主練時間中も、彼女のことで頭がいっぱいだった。
「彼女の痛み、苦しみはどこから来ているのだろう?」
「私にできることがあることしたら?」
「大丈夫?と声をかけて、話を聞く?でも今はNoble Silence中だから無理だなぁ。」
「そもそも彼女は誰の助けも必要としていないかもしれない。
「あの感じだと、手を差し伸べたとしても、拒絶されるだけな気もする。」
「それに彼女自身の問題なんだから、放っておくべきかも。」
「でもそれって冷たすぎない?」
「自分にできることがあるかもしれないのに、行動しないなんて、私らしくない。」
という思いが頭の中をグルグル回って、この日はDAY 3とはまた別の意味で「チャレンジング」な日となった。
結局どうしていいか分からないので、自分に今できることとして、心の中で、彼女にHugとLoveを送ることにした。
17:00のティータイム前に、一度部屋に戻った。
その時、ルームメイトとたまたま目が合ったので、ルール違反だけど、少しだけ話をした。
そこで、ルームメイトも今朝の出来事に驚いたこと、DAY 3に私が「ツライ」と感じた理由も「分かる、私も同じように感じてた」と話してくれた。
そして「私はあなたの後ろの列に座っているから、MegumiとB(別の女の子)が成長しているのが見えているよ。」と言ってくれた。
18:00から再びグループ・メディテーションがあったのでホールに向かった。
実はこの日は1度も「1時間動かずに座る」ことが出来ていなかった。
隣の人のことで頭がいっぱいだったのだから、出来なくて当然である。
Vipassanaはそんなに甘くない。
自分の席に座って、心を落ち着かせた。
その時、後列に座っているルームメイトが、後ろから私の様子を見守ってくれていたことを思い出した。
そしてあることに気づいた。
あぁ。私はこれまで隣に座っている1人のことだけに気を取られていたけど、よく見たら、私の周りには少なくとも5人の良いエネルギーを持った人が座っているんだ。最後の1回くらいは、真剣にVipassanaだけに集中しよう。
そう決めると、この日1日で起きたことや、雑念が消えていった。
そして、18:00-19:00の1時間、全く動かずにメディテーションすることができた。
うれしかった。
「Noble Silence(聖なる沈黙)」を破ったのは良くないことだけど、この日ルームメイトと少し話せたことに、心から感謝した。
この夜は、満月の2日前だったので、ものすごく月が綺麗だった。
夜の休憩の合間に、菩提樹の木の下のベンチで、月を眺めながら、ある友人との会話を思い出していた。
「夜空を見上げて、どんなこと考える?」
「私はよく星に話しかけたりしていたよ。例えば・・」
そんな会話。楽しかったな。と思いながら。
月を眺めていたら、目の前をルームメイトが通って、彼女も月を見上げていた。
そして、右の方に視線を向けると、もう1人の女の子Bも、別の木の下から月を眺めていることに気づいた。
後日、Noble Silenceが解かれた時に、この満月の夜のことを話したら、なんとあの時、3人ともそれぞれ「あ、彼女たちも月見てるな。」と思っていたらしい。
言葉を交わさなくても、直接的なコミュニケーションを取らなくても、あの時3人が同じことを考えていたと知って、Universe!と思った。
長い1日が終わった。
ヴィパッサナー瞑想10日間コース(DAY 8)
今朝も4:30からホールでメディテーション。残り2日だ。
現実社会に戻れば、こんなふうに1日10時間も瞑想することは難しい。
だからこそ、今のうちにしっかり練習しておこう、と思った。
そうコミットしたせいか、朝の4:30から1時間x2セット、無理なくできた。
そして、6:30になると、私の席に太陽の陽が差し込むことに気づいた。
小さな窓枠からスポットライトのように、私と近くに座っている人たちを照らす朝日。
眩しいけれど、オレンジ色で、あたたかい陽。
ホールを出ると、その太陽が右手に見えたので、眺めていると、虹色の太陽光線のようなものがキラキラと伸びていた。
それがあまりにキレイで、「太陽を直視してはいけない」と分かっていながら、しばらくボーッと眺めていた。
ダイニングホールに行き、朝食をいただいく。
食事を食べ終わり、ゆっくりMilk Teaを飲みながら、なんとなくステンレス製のマグカップの底を見ると、レインボーが!
この数ヶ月「レインボーハンター」を名乗るくらい、意図せずレインボーに遭遇することが増えていた私は驚いた。
え?ステンレスにもレインボー?
と思って、天井を見上げると、ちょうど私の真上のトタン屋根に丸い穴が開いていることに気づいた。
あの天井の穴から太陽の光が入って、この小さな私のマグに底に反射しているってこと??
と思い、「宇宙からのギフトだ!」とひとりで嬉しくなってしまった。笑
黙々と1日10時間メディテーションを続けていると、メディテーションをしていない時間も感覚が冴えるのか、普段だったら気づかないことに気がついたり、興味を持つようになる。
「この花はどんな香りがするんだろう?」
「見たことない植物!どんな感触なんだろう?」
「あんなに小さかったマンゴーの実が、少し大きくなってる!」
「この植物の緑って1色じゃなくて、5色も混ざっていたんだな」
「今日は月の色が昨日とは違うな」
とか。
現実社会にいたら「どうでもいい」「気にもかけない」ようなことにまで、目が行くようになっていた。
メディテーション以外、他にすることがないから、というのもあるとは思うけど。
「すごく平和な時間だなー。ありがたいなー。」と改めて感じていた。
午後の自主練の時間。
ここ数日、ヒマラヤトレッキングで出会った白馬を思い出すことが何度かあった。
トレイルを歩いていたら、突然、木々の間から現れた、白い馬。
その登場の仕方が、まるで映画のワンシーンのようで、一瞬時が止まったように感じた。
とても落ち着ついた様子で、しばらくこちらを見ていた。
走り去っていく時もかっこよくて、貴賓のある馬だった。
その白馬が今日も出てきた。
ただじーっとこちらをみているあの白馬は、何を伝えたかったんだろう。
そんな風に、DAY 8はとても平和で、静かな1日だった。
バックナンバー
1.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」に参加してきた
2.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 0)
3.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 1-2)
4.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 3-4)
5.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 5-6)
6.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 7-8)
7.【ネパール】ヴィパッサナー瞑想「10日間コース」体験レポート(DAY 9-10)
8.10日間の「ヴィパッサナー瞑想」からの学びと気づき
9.「ヴィパッサナー瞑想」10日間コースに参加する人へのアドバイス
10.【ネパール】「シスターフッド」のように感じる仲間との出会い
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