午前4時。真っ暗な田舎道で出会った新しい友達【ミャンマーひとり旅】

Myanmar-inle-bus(c)Megumi Mitani Myanmar
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こんにちは!フルタイムトラベラー、三谷めぐみ (@meg_intheworld)です。

ミャンマー国軍のクーデター。日本に住む多くの人たちにとっては「怖いことが起きてるね。(でも私たちには関係無いよね。)」という感じで、ひとつの”ニュース”として消化され、10秒後には忘れ去られる。
私自身もそうだけど、行ったことがない「よく知らない国」で起こっていることというのは、色んな面で、想像がしづらい。
そこで、少しでも「ミャンマー」という国に関心を持ってもらえたらと思い、2019年春にミャンマーをひとり旅した時のことを旅エッセイ的に綴ることにしました。少しずつ更新していくので、のんびり読んでもらえたら嬉しいです。

今日は、バゴーからインレーまで夜行バスで向かった時の話。

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午前4時、真っ暗な田舎道で落とされる

バゴーでインレー湖行きのバスチケットを購入した私は、夜行バスに揺られ眠っていた。

午前3時頃。後ろの方に座っていたミャンマー人と思われる乗客の女性が、前方まで歩いてきて、バスの運転手とスタッフに何かを訴えかけている。

会話の内容はまったく分からないけど、彼女が怒っているのは明らかだった。指をさしながら、「こっちじゃない」と言っているようだった。

5分くらい激しい言い合いが続いた後、その女性は座席の間の通路に座り込んでしまった。

バスの運転手はバスを停車させた。

女性は力なく立ち上がると自分の席に戻り、大きな荷物を3つ抱え、ひとりでバスを降りて行った。

こんな時間に街灯ひとつない場所でバスを降ろされるなんて・・。どうするんだろう。

と、降りて行ったおばさんを気の毒に思った。

Google mapを見ると、目的地のインレー湖までは、およそ2時間だった。

「10時間のバス旅も、もうすぐ終わりか。少し眠っておこう」とウトウトし始めた頃、バスのスタッフが私に声をかけてきた。

もうすぐ着くよ

自分が寝ぼけているのかと思い、iPhoneのGPSで現在地を確認した。

まだインレー(ニャウンシェ)じゃないよね?

と言いながらGoogle mapを見せた。

すると、バスのスタッフは「英語が話せる人に電話する」と言って、どこかに電話をかけた。

電話の相手は、私にこういった。

そのバスはインレー湖には行かない。ここで降りないとインレー湖には行けないぞ。

どういうこと?私はバゴーからインレー湖行きのチケットを買ったんだけど。ニャウンシェにも停まるよね?と何度も確認したし。

バゴーの人間は嘘つきばかりだからな。インレー湖に行きたいなら、そこでバスを降りてタクシーで行きなよ。

は!?私はニャウンシェまでの料金を支払ってるんだから、そこまで乗せていって欲しいんですけど。

そのバスはこの先違う方向に行く。ニャウンシェには行かないんだ。だから、そこで降りた方がいいぞ。タクシーで20-30分で着くさ。

Whaaat?

文句を言いたきゃ後で電話して言えばいい。彼らもまだ寝てるだろうから、そうだな、朝8時過ぎに電話してみなよ。電話番号教えようか?

朝8時?冗談でしょ?今午前4時ですけど。それに、私は誰かに文句を言いたいわけじゃない!目的地のニャウンシェに行きたいだけ!

到底寝起きとは思えないテンションで訴えながらも、「これ以上この人と話したところで目的地には辿り着けない」と思った私はバスを降りることにした。

バスのスタッフに電話を返すと、バツが悪そうに私の方を見た。
そして暗闇の中で待機していたタクシー運転手の男を呼び、何かを伝えているようだった。

バスは私を暗い夜道に落とすと、遠くに走り去っていった。

 

どこだか分からない場所で降ろされた。どうしよう。

と思っていると、タクシーの運転手とその仲間が私を囲んだ。

「インレー湖に行きたいんだろ?ここからだと〇〇チャットだ。」

それは、寝ぼけている私でも判断できるほど、明らかに法外な金額だった。

街灯もないミャンマーの田舎道に落とされた、ひとりぼっちの外国人旅行者。
目的地までは徒歩で1時間半。どんな道かも分からない。
朝日が昇ってくる気配はまだない。真っ暗だ。

タクシー運転手が正規の料金で外国人観光客を乗せる理由はひとつもなかった。

それでも「YES」と言わない私を見かねたドライバー達は、「あそこに2人旅行者がいるから、3人で割り勘にすれば?」と言ってきた。

え?わたし以外にも、ここで落とされた旅行者がいるの?

周りを見渡すと、少し離れたところにバックパックを背負っているような人影がうっすらと見えた。

暗すぎて、相手の顔も姿もよく見えないけど、近づいて声をかけてみることにした。

直感を信じる3人

バックパックを背負った2人組がいる方へ歩き、「あなた達もニャウンシェに行くの?」と声をかけた。

振り返って「そう」と答えたのは女性の声だった。

暗くて顔は見えないが、女性と男性の2人組らしかった。

タクシー運転手から3人でタクシーをシェアすることを提案されたと告げると、「でも、かなり高額でしょ?ぼったくりだよね。」と彼女は言った。

彼女達も私と同じことを思っていた。

相手の名前どころか、お互いの顔すら知らないのに、私たち3人は自分達の直感とGPSを信じてニャウンシェまで歩くことに決めた。

iPhoneのライトを頼りに田舎道を歩く。
相変わらず景色は見えない。
埃っぽい空気の中、微かに朝露の匂いがした。

この辺りは水田か畑だろうか。ただの荒地かもしれないな。

と思いながら、この先1時間半ほど一緒に歩くことになる2人組と、お互い顔が見えないまま自己紹介をした。

私が声をかけたのは、ベルギーから来ているエミリーとジョンだった。(本当の名前は違うけどブログではエミリーとジョンと呼ぶ)

エミリーはコロンビアとエクアドルのミックスで、ベルギー育ち。世界を旅しながら現地で働き、お金が貯まれば次の国に行く、という暮らしをしている。1週間前からミャンマーをひとり旅をしていた。

ジョンは生まれも育ちもベルギー。オーストラリアでワーホリしている合間にアジアをいろいろ旅していて、2日前にミャンマーに着き、エミリーと合流したばかりだった。

2人ともベルギー出身だけど、出会ったのはオーストラリアというのは、後で知った。

少しずつ空が明るくなり、2人の顔がうっすら見えはじめた頃、後方に眩しい光が見えた。

大型車が近づいてくる!バスだ!

するとエミリーが「ヒッチハイクしよう!」と言って、3人でバスを止めた。

エミリーが「ニャウンシェ」と言いながら、お金を意味するジェスチャーを見せると、バスのスタッフは「3人?」と言って空席を確認した後、「フリー。カモン!」と言ってバスの中に迎え入れてくれた。

エミリーのおかげでヒッチハイクに成功!

その時はじめて、エミリーの顔とジョンの顔がはっきり見えた。

「We did it!(やったね!)」と笑った2人の美しい笑顔が、「バゴーの嘘つき事件」の全てを洗い流してくれた。

ついさっきまで顔も名前も知らなかった2人と、ミャンマーで人生初のヒッチハイクをして、無事に目的地のインレー湖に辿り着くことができた。

この日から3日間。「直感」を信じる3人は、まるで親友のように過ごした。

「直感は信じるけど、偶然は信じない」というジョンの言葉に、この日ほど同意せずにいられない日はない、と思った。

つづく。

ミャンマー旅のTIPS:インレー湖の入域料とチケット

Myanmar-inle-bus 入域料(c)Megumi Mitani

ミャンマーには外国人観光客が「入域料」を支払わなくては行けない場所がある。

マンダレー、バガン、ゴールデンロック(チャイティヨー)そしてインレー湖など、有名な遺跡やパゴダ、観光地となっている場所は、入域料を払う。

インレー湖の入域料は15,000チャット。

ヒッチハイクしたバスが「外国人観光客専用バス」とも呼ばれるJJ Busだったので、バスのスタッフが乗客全員分のチケットをまとめて購入&支払いしてくれた。

このチケットは観光中に提示を求められたら、見せられるように常に携帯しておくことをお勧めする。提示できないと罰金を取られることもあるから。

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この記事を書いた人

自然と芸術を愛する旅人。世界各地で家を借りながら暮らす「デジタルノマド」9年目。40ヶ国。

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