トランプが勝利したアメリカ大統領選から学んだこと

2016アメリカ大統領選トランプvsヒラリー(c)Megumi Mitani Column
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ちょうどアメリカ大統領選の投票が始まった頃、38.6度の熱に苦しんでいた。

平熱より3度も高いので「インフルかも?」と思ったけれど、一晩寝たら治った。

アメリカ大統領選が最も白熱する「選挙イヤー」に半年ほどアメリカで過ごした私は、大統領選の行方が気になりすぎて知恵熱が出たのかもしれない。笑

日本時間11月9日朝8時。アメリカ大統領選の開票が始まった。

それから結果が出るまでの約9時間、日本のニュース番組を耳で聞きながら、アメリカのニュース速報をMacで見ていた。

各州の開票結果速報が出るたびに、心臓が飛び出そうになった。

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トランプ大統領誕生

2016アメリカ大統領選(c)Megumi Mitani

トランプが大統領選に勝った。

あのヒラリー・クリントンを破って。

日本時間の夕方17時前(現地時間深夜)、ヒラリーがトランプに敗北を認める電話をしたことで、トランプの勝利が発表された。

アメリカの大統領選では敗者が勝者に 「おめでとう」と電話をする習わしがある。

「トランプ大統領」が誕生した。

トランプが大統領になると思っていた人はどのくらいいるだろう?

少なくとも、私の周りには一人もいなかった。

日本の友人や家族とアメリカ大統領選の話になると「ヒラリーが勝つんでしょ?」と、みんな口を揃えて言った。

「そうだといいけど。今回は本当に、最後まで分からないよ。」

私が真面目な顔でそう言うと「メグは10ヶ月も日本を離れている間に、頭がおかしくなったのかな?」と、不思議そうな顔をしていた。

 

「選挙イヤー」である2016年、私はアメリカ50州のうち23の州を訪れた。

ニューヨークやロサンゼルスのような大都市から、オハイオやカンザスのような中西部、フロリダやルイジアナ、ノース&サウス・カロライナのような南部まで。

それぞれの土地や風景、その街で暮らす人々を見てきた。

それを踏まえた上で、「ヒラリーが勝つとは言い切れない」理由を説明しても「へぇ〜そうなの〜?」と半信半疑の人もいた。

日本人だけではなく、アメリカ人の反応も同じだった。

ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルで暮らすアメリカ人の友人たちは

「相手はトランプだぞ?(笑)投票には行くけど、結果は分かってるよ。」
「勝利は目に見えてる。」
「トランプに入れるバカなんているの?(笑)」

と言っていた。

選挙結果に怒り・落胆するアメリカ人

2016アメリカ大統領選結果(c)Megumi Mitani

「トランプが大統領に選ばれた」という結果を受け、アメリカの友人達はFacebookで深夜2時(現地US時間)とは思えない盛り上がりを見せていた。

  • なんてことだ・・・。
  • 信じられない。どうしたんだよ、アメリカ。
  • 気分が悪い。私たちの国はどうなるの。
  • レイシストが指揮を取るなんて。
  • 今夜僕が自殺しなかったら明日会おう。
  • 恥ずかしい結果を残念に思う。
  • これで僕がアメリカ以外の国に住みたい理由がはっきりした。

これらの投稿に対し、彼らの友人達がどんどんコメントを入れている。

彼らはやり場のない怒り、呆れ、悲しみを誰かと共有したがっているように見えた。

 

投票前に話をした友人達ともメッセンジャーで話をした。

ひとこと目はだいたい「クレイジーだ」「ありえないよ」「恥ずかしい」「がっかりしている」だった。

ある友人は「Meg,知ってるよね?ヒラリーの方が総得票が多いんだ。トランプは59,588,437票、ヒラリーは59,794,934票*だった。この事実は変わらない。アメリカ人の過半数はトランプ派ではない。」と言った。【注意】* 結果が出た時点での数。開票は終わっていないので数字は変動する。

そう。彼らは誰ひとりとして「トランプが勝つ」なんて思ってもいなかった

だからこそ、彼らの落胆ぶりは激しい。

日本人の私がなんて声をかければ良いのかすら分からないほど、落ち込んでいる。

 

怒りや落胆で溢れている投稿が続く中。

6月にBrexit(イギリスの欧州連合離脱)を経験したイギリス人が

「アメリカの友人達よ、残念な気持ちは分かる。僕たちもそうだった。予想していない事が現実に起こることもあるんだ。」

と投稿した。

悲観的なタイムラインを見続けたであろうアメリカ人はこう言った。

「みんな。僕たちはこの結果について十分言いたい事は言ったはずだ。もう終わりにしよう。明日からのことを考えよう。」

「投票しないほうがマシ」な訳ない

なぜこんなにも怒り落胆する人が多いのに、ヒラリーは負けたのか。

おそらく、今この瞬間に黙っている人たちの存在も少なからず影響しているだろう。

 

あるアメリカ人の知人は、選挙前に

「私は民主党支持者だけど、ヒラリー・クリントンは嫌いだから投票には行かない。ヒラリーに入れるくらいなら死んだほうがマシ」

と投稿した。

こんな風にわざわざSNSで投稿する人は少ないけれど、私の周りでも「ヒラリーは好きじゃない」「彼女には投票したくない」と言う人たちは、何人もいた。

とはいえ、Facebookの投稿を見る限り、私の周りの人達は、ほぼ全員ヒラリーに投票したようだった。

バーニー・サンダースを支持していた友人達も、本当はヒラリー派ではないけれど「トランプが勝ったらとんでもないことになる」と言ってヒラリーに入れた。

 

冒頭の発言をした彼女が投票に行ったか、行ってないかは知らない。

けれど、彼女のように「ヒラリーが嫌いだから行かない」とか「入れたい人がいないから投票には行かない」と棄権する人も多かったのではないだろうか。

もしくは「わざわざ自分が投票に行かなくても、トランプが勝つはずない」と、何かしら理由をつけ「投票に行かない」ことを選んだ人もいるだろう。

そんな彼らは、意図せず「トランプ勝利」に加担してしまったかもしれない。

投票を棄権した人たちは、今、それについてどう感じているのだろうか。

「コミュニティ」に潜む危険

2016アメリカ大統領選トランプvsヒラリー(c)Megumi Mitani

ある親しい友人はこう言った。

「ヒラリー(民主党)に入れよう!なんてわざわざ言う必要は無いと思った。」

なぜなら彼らが暮らすカリフォルニア州やワシントン州の西海岸にはトランプ支持者がいなかった(極端に少なかった)から。

ヒラリーを支持していない人も、最終的にはヒラリーに入れるはず、だと思っていた。

ところが。

アメリカは50州もある巨大な国で、州を越えると別の国に来たかのように感じることさえある。

経済状況、生活環境、教育レベル、仕事の種類、治安、文化などが、州を越える(州内でも北と南、東と西で)と全然違ったりする。

仕事や生活環境・教育レベルが違えば、当然、考え方や価値観も違う。

だから、自分が属しているコミュニティ(地域・仕事・学校・友人)がスタンダードで、その他のコミュニティも「同じだろう」と考えるのは危ないかもね、という話をした。

友人は「Megは僕よりも多くの州を旅してるから、もしかしたらアメリカ人の僕よりも、アメリカを知ってるかもね!」と言って笑った。

これは小さな島国である日本も同じで、第三者から見たら不思議で不可解なことがたくさんあるだろう。

トランプに「賭ける」しかない労働者層

過去記事でも触れた通り、世界一の経済大国アメリカにも貧富の差がある。

TVや映画でよく見る、ニューヨークのマンハッタン高層ビルや、ロサンゼルスの海を望む大きな家。あんな場所で暮らしているのは、超富裕層だけ。

「普通」のアメリカ人は、必死に働いて家賃の高い大都市で暮らすか、田舎の土地だけは広い家でそれなりの収入で暮らしている。

労働者層や貧困層になると、日本人の私達からは想像できないような環境で暮らさざるを得ない人もいる。

 

今回の選挙でトランプを支持した人たちの中には、もともとは保守派でも、共和党員でもない人もいた。

  • アメリカ中西部や南部のワーキング・クラスで生活に苦しむ人
  • オバマ大統領の”Change”に期待したけど生活は良くならずがっかりした人
  • 違法移民に仕事を奪われたくない合法移民

そんな人たちが、「Make America Great Again」と叫ぶトランプに「賭け」たのではないだろうか。

そう。今回の選挙は見事にマイケル・ムーアの読みが当たったというわけ。

メディアの責任・個人の責任

今回の大統領選の結果に多くの人が「驚いた」理由は、私たちがメディアの情報を信じすぎたからではないだろうか。

私たち一般人は、「ニュース・メディア」が報じる事は「正しい」「事実だけを報じている」と思っている。

なぜなら、大手ニュース・メディアであればあるほど、綿密な調査・取材・校正が行われ、承認された記事だけが世の中に出ている、と信じているから。

けれど、実際はそうではないかもしれない。

ここ数日、各メディアがヒラリーとトランプの勝率予測を報道しており、いずれも「ヒラリーが若干優勢」だった。

あれだけ騒がれたヒラリーのメール問題も、FBIが「訴追しない」と発表したこともあり、私も「まぁヒラリーが優勢でしょうね」と思っていた。

しかし、昨夜はさすがに目を疑った。

投票が始まる数時間前に、ロイターが米大統領選、クリントン氏勝率は90%というヘッドラインの記事を掲載した。

ヘッドラインを見た瞬間「え?嘘でしょ?」と思った。

記事を読んでみると、調査対象が「全米50州とワシントンDCに住む約1万5000人」とのこと。

たった1.5万人の独自調査で「クリントンが90%の確率で勝つ」というヘッドラインをつけて記事にするなんて・・・。

中身を読めば「なんだ。クリックバイト(クリックさせるための記事)か」と分かるけど、ヘッドラインだけ見たら「90%なら既にヒラリーが勝ったようなもの」と思う人もいるかもしれない。投票開始前なのに。

 

実際、アメリカ人(だけでなく世界中の人々)が今回の結果に驚いたのは「ヒラリーが勝つ」と言われていたからだ。

プライマリー(予備選挙)や3回のディベート(討論会)の後は、毎回と言っていいほどヒラリーを褒め称え、トランプを笑い者にする記事が目立った。

確かにトランプは子供みたいな言動をするし、ヒラリーの方が国を代表する政治家にふさわしい。

けれども、支持率に関してはもっと有権者の声をそのまま反映するべきだった。

メディアは有権者の思いを読み取れていなかったのか、隠れトランプ支持者の存在を軽視したのか。それとも有権者の感情をコントロールする事に失敗したのだろう。

これはアメリカに限った話ではなく、日本も同じ。

「疑う」ことをしない素直な日本人は、ニュース記事やゴシップ記事を全て鵜呑みにしていることも多いだろうから。

メディアには「報道」する上での責任を果たしてほしいけど、同時に私たち個人も「情報」を自分で精査・考察する責任があるように思う。

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この記事を書いた人

自然と芸術を愛する旅人。世界各地で家を借りながら暮らす「デジタルノマド」7年目。40ヶ国。

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