アメリカの暴動と人種差別問題 #BlackLivesMatter

Column
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こんにちは。フルタイムトラベラー 三谷めぐみです。

この投稿は3〜4日前から書いては消し、書いては消しを繰り返したお蔵入り記事。

以前少しだけ触れたけど、「人種差別問題」は政治や宗教の話以上にセンシティブなトピックなので、今回の件について連日胸を痛めながらも「書かない」「書いても公開しない」という選択をした。

したんだけれど、

“Silence is betrayal”(沈黙は裏切り)
“Silence is complicity” (沈黙は共犯)
“Silence is violence”(沈黙は暴力)
“Do your part”(役割を果たそう)

という言葉を昨日から何度も何度も目にするうちに、考えが変わった。

日本生まれ日本育ち、アメリカ人でも、白人でも、黒人でもない、100%日本人の私が「アメリカの人種差別」について書くなどおこがましいけど、まとまりのないこの拙文を公開することにした。

何のアクションも取らずに時が過ぎ去るのを待ったり、黒い画像と#BlackoutTuesdayをSNSに投稿するだけでは、自分の役割を果たしていないと思ったので。

***

アメリカの人種差別問題や、今起こっている暴動について「よく知っている」人にとっては、全く読む価値のない記事なので、どうぞ他のことに時間を使ってください。

逆に

「今アメリカでは何が起こってるの?」
「暴動が起きてるとか怖い!」
「黒人が暴徒化してるの?」
「人種差別って実際どういうこと?」

と思っている方は、一度読んでもらえたら嬉しいです。
そして、この問題について一緒に考えてもらえたらもっと嬉しいです。

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アメリカで今何が起こっているか

まず。今、アメリカで起こっていることは2つ。

  1. Black Lives MatterのProtest(抗議デモ)
  2. Riot(暴動)と Looting(略奪)

どちらも、ここ数日間アメリカ各地で起こっていることだけど、この2つは分けて考える必要がある。

Black Lives MatterのProtest(抗議デモ)

2020年5月25日にミネソタ州のミネアポリスで起きたGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)さんの死がきっかけで、抗議デモが始まり、全米に広がった。詳細:New York Times(英語)

ジョージ・フロイドさんはアフリカ系アメリカ人(黒人)、警察官は白人。
地面に押さえつけられているフロイドさんが「I can’t breathe!(息ができない)」と訴えるも、警察官は「喋れているんだから問題ない」と8分間も膝で彼の首を押さえ続け窒息死させた。

そして、フロイドさんの事件と同日の5月25日。
ニューヨークのセントラルパークでは、犬をリードにつながずに散歩させていた白人女性に対し、黒人男性が「あなたの犬をリードにつないで」と言ったところ、白人女性は警察に「アフリカン・アメリカンの男性に脅されている」と電話で通報。女性は解雇された。詳細:BBC(日本語)

週数間前には、ジョージア州でジョギングををしていた黒人男性を白人親子が射殺したという動画が出回り、事件から2ヶ月後の5月になってようやく白人親子が逮捕された。詳細:Yahoo!JAPAN(日本語)

「事件」として記事になるのは、ごく一部で、アメリカでは人種差別による事件や暴力は日常的に起こっているし、構造的な人種差別は今も存在する。

そういった黒人に対する不当な扱いに対し、「黒人にも人権がある」「黒人の命も大切だ」を意味する「Black Lives Matter」のメッセージを掲げデモが行われている。

ちなみに。2013年から使われ始めたこのスローガンは、SNS上でも「#BlackLivesMatter」「#BLM」というハッシュタグとして使われるだけでなく、家の前や店にサインを掲げる人も多い。

Riot(暴動)と Looting(略奪)

そして日本のニュースやTVで取り上げられている「アメリカの暴動」。

警察署を燃やしたり、ルイヴィトンやグッチなどの高級ブランド店から、日用品を販売するTargetやローカルストアまで見境なく、お店のドアや窓を壊して店内に侵入して商品を盗む略奪者たち・・。

彼らは「人権に対する抗議デモ」に便乗する形で、別の怒りや個人の欲を発散しているだけの暴徒

本気で人権に対する抗議デモをしている人たちは、暴動や略奪はしない

なので、もしあなたが「抗議デモをしている人達が暴徒化して、街を燃やしたり壊したり、物を盗んでいる。黒人怖い。」なんて思っていたら、映像や写真をよーーーく見て欲しい。

抗議デモに参加するのは黒人だけじゃないし、暴徒も黒人だけじゃない。
白人も有色人種もいる。肌の色は関係ない。

アメリカでの人種差別

差別は「昔の話」ではない

アメリカでの人種差別は、独立前の17世紀奴隷制度の時代から、400年も続いている。

昔のように「白人専用」「黒人専用」の公園や学校、バスルーム、水飲み場はもう存在しないけど、金融・教育・仕事などの社会的構造差別から、目に見えない形での差別は、今、2020年でも存在する。

友人の友人がカリフォルニア州のベイエリア(サンフランシスコ近郊)で家を買った。その家は古くからある家で、証書には「この家は白人にしか売らない」という記載があったそう。

アメリカの南部ならまだ想像がつくけれど、カリフォルニアで!?と驚いた。

人種差別的な発言・行動とは?

ジョージ・フロイドさんは、軽犯罪にも関わらず、その場で白人警察官によって殺された。これは誰がどう見ても間違っている、人種差別による事件である。

アメリカには、ここまで明らかではない人種差別が日常的に存在している。

日本で暮らす日本人にとって「人種差別」はあまり身近な問題ではないので、人種差別的な発言・行動とは何か、もし差別的な発言をした場合どうなるか、知らない人も多いかと思う。

人種差別的な発言とは、相手を「自分と同じひとりの人間」として見る前に、肌の色や人種だけで物事を決めつけたり、相手の文化や人種による身体的な特徴をバカにしたり、相手を傷つけ・侮辱するようなこと。

先に上げたニュース記事を再度見てみよう。

5月25日。ニューヨークのセントラルパークで、犬をリードにつながずに散歩させていた白人女性に対し、黒人男性が「あなたの犬をリードにつないで」と言ったところ、白人女性は警察に「アフリカン・アメリカンの男性に脅されている」と電話で通報。女性は解雇された。

参考映像はこちら

ここでの差別的な発言は「アフリカン・アメリカンの男性が私を脅している」と言っていること。

この映像がSNSで拡散された結果、白人女性は「当社はいかなる人種差別も許さない」として会社から解雇された

さらに「犬がかわいそう」「動物虐待」という声も広がり、彼女は犬を元のシェルターに引き渡すことに。(その後また彼女の元に戻ったとの情報も・・。)

もし彼女が「アフリカン・アメリカン」ではなく、ただ「男性が」と言っていたら違う結果になったかもしれない。

後日、彼女は公式に謝罪し男性とは和解している。
そして「私は差別主義者ではありません。警察に通報したのは、人がいない公園で「脅されている」と感じ怖かったため。」と話している。

相手が白人男性でも同じように「脅されている」と感じただろうか?警察に電話しただろうか?という疑問は残るが、彼女の発言が真実だとしよう。

その場合、「アフリカン・アメリカン」というひとつの言葉と「警察に電話をする」という行為が、相手を傷つけ、結果的に彼女自身も仕事、犬、社会的信用を失うことに繋がってしまったのかもしれない。

ただ、それは白人(または人種差別に無知な人)側の視点。

黒人からの視点はこうだ。

「彼女(白人女性)は、彼(黒人男性)の身を危険に晒した。警察に殺される可能性だってあったのだから。」

白人の特権(White Privilege)とは?

アメリカの人種差別問題について話す時、白人の特権(White Privilege)が話題になることがある。

「白人の特権」は白人よりも黒人の方がよく知っている。

そこで、ひとりの黒人女性のストーリーをシェアしたいと思う。

Lori Lakin Hutchersonさんが、友人の白人男性から「白人の特権って例えばどんなこと?」と聞かれた時に回答した中から、いくつか引用・要約させてもらう。(英語が読める人はぜひこちらのオリジナル記事を。)

黒人女性が自分の体験から思う「白人の特権」

  • 子供の頃に肌の色が理由で嫌な思いをしたり、差別用語を言われないこと
  • ハーバード大学に進学が決まったと言ったら「マサチューセッツにある、あのハーバード?」と確認される必要がないこと
  • 警察官から職質されないために、ぬいぐるみを車に乗せる必要がないこと
  • 「Good Black News」という黒人がポジティブなことをした話を紹介するサイトを作る必要がないこと

ご本人曰く、彼女は恵まれていたのでこれらの経験は「マイルド」だそう。

黒人男性に対する扱い

アメリカ国内での黒人男性に対する扱いは酷い。

ある黒人男性は「夜、近所に買い物に行くだけで職質をされる」と言うし、黒人の子供達は命を守ために親から「警察と正しく接する方法」を教わるという。

今回の抗議デモでも「AM I NEXT?」と、「次に白人警察に殺されるのは私なのか?」と訴えている人もいた。

ベビーシッターをしているだけで警察に通報されるなんて誰が思うだろう?

日本人の私たちにできること

この長文をここまで読んでくれているあなたは「自分にできることはなんだろう?」と思っているかもしれない。

私もこの記事を書き始めた5月29日からずっと思っている。

そして私なりに考えた結果、「分からなくてもいいから知る努力をする」「人種差別や人権について話し合う」「関心を持ち続ける」の3つが今自分にできることだと考えた。

1.知る努力をする

人種差別について無知であることは恐ろしい。
今回改めてそう感じたので、毎日少しづつ学んでいる。
今、色んな人が自分の体験やストーリーをシェアしているので、知ろうと思えばいくらでも情報は出てくる。
これまでに見た映画・映像・インタビュー、読んだ記事や本は後日まとめる予定。

2.話し合う

人種差別について調べていくと、色んな疑問が湧いてくる。

そんな時に、ひとりで悶々と考えていても「分からない」ものは分からないので、信頼できる友人やパートナーに聞くようにしている。

体験談を聞くと、色んな感情が沸く。
話し合っても答えが出ない時もあるけど、話し合うことで少しずつ理解が深まっているような感覚はある。

3.関心を持ち続ける

6月2〜3日にかけてInstagramのタイムラインが真っ黒になった。
でも、その翌日からBLMについて話す人はごく一部になった。

たった1日のムーブメントで終わったら何の意味もない。

確かに私たちは忙しい。
他にやることも、考えることもいっぱいある。

だけど、この問題を「消費」してしまったら、2300年になっても今と同じことが起こるかもしれない。

と思って、今回この記事を書きました。

最後まで、乱文を読んでくださりありがとうございました。

P.S.もし「この記事の内容は間違っている」「こういう言い方は良くない」などと思われた方がいたら、ご指摘いただけると幸いです? この問題について理解を深めたいと考えているのでよろしくお願いします。

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この記事を書いた人

自然と芸術を愛する旅人。世界各地で家を借りながら暮らす「デジタルノマド」9年目。40ヶ国。

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